精神科の風景 Vol,2
寝る時間に皆、眠剤を飲むので、便秘がちになるので、水の下剤を飲む。
女性看護師さんにはやらないが、男性看護師さんには水滴を
「1,2,3」
と、数えた時、まだ5なのに10と言って
「11、あれ?変だ❗間違った」
と、からかって皆で遊んでいた。
なかなか引っ掛からない憎たらしい看護師さんもいたが、女性看護師さんは怒らせると、怖いので大人しく入れてもらった。
大学病院はサブDr.も付く。若いDr.だから、何かあると、オラオラしてしまい、ベテラン看護師さんの方が頼りになるし、患者歴が長い私の方がまだ診れるだろう。
ある時、拒食症になり、サブDr.のT先生が
「のぞ美さん、どうして食べないの?死んじゃうよ」
と、オロオロしながら言って来た。
困らせて悪いが、脳が食べるなと指令を出しているから、どうしようもないのだ。
他のDr.もベッドの横にある、クッキーを見て
「これでも食べてくれたらいいのにな」
と、言う始末。
体重が35kgを切ってしまったが、ココア味の栄養ドリンクと点滴で、命をつないでいた。
当時は鏡を見て、まだ太っていると感じていたが、今、写真を見ると、骨川筋子で、笑顔が無い私がそこには写っている。
Dr.と喧嘩して、ベッドのマジックで主治医の名前が書いてあったので、消してNOと書いて反抗した。
今思うと、ボーダーラインの典型的な症状だった。
ちょっと自分の思った事と違うと、ガッカリし、相手を責める。
見捨てられたくないのと、構って欲しいのが、混乱している。
分かりやすくいうと、ダイアナ妃や、マリリン・モンロー等がパーソナリティー・ボーダーラインだと言われている。
マリリンの本を読むと、とても傷付きやすく、完璧を目指す人だと分かる。
モンローウォークは有名だが、ヒールを左右切って、長さを変えてわざとお尻が揺れる様にしたり、7、8色の口紅を使ってあの魅惑の唇にした等、彼女の努力は半端無いのも、知られている。
多分、今の直ぐネットで、叩かれる時代なら、生きて行けない方でしょう。いや、もしかして、もっと挑発する態度をとったかも知れない。
本を読むと私と同じだと感じて苦しくなった。
ボーダーラインはタイプが色々あるが、境界性パーソナリティー障害は一番は自分が苦しいが、周りも巻き込むところが厄介だ。
特に女性患者なら、男性医師は断るケースもある。
医師と恋愛感情になってしまい、医師の生活もぐちゃぐちゃにされ兼ねない
からだ。
自分の旦那にも、話せない事を医者には診察で話している内に好きになってしまうパターンがある。
逆に医者の方が好きになり、医者生命を絶たれる事もあるらしい。
それを転移性恋愛と呼ぶ。
医者も人だ。自ら、自滅する道を選ぶ筈が無い。だから、断る。
仕方ないから、診るという医者もいるが、相当、強靭な精神を持たないと、ボーダーラインは相手に出来ない。
一番長く診てくれてる、先生に
「何か悩みありますか?」
と、患者の私が訊くと
「ん~、あるのだけど、直ぐ忘れちゃうんだよね~」
に、だから、精神科医をやっていけるのたなと思った私だった。