不思議なからだ Vol.2
次の朝、ケースワーカーさんが来てくれて、J先生のいる病院まで、連れて行ってくれた。
立てない私を手を引っ張りあげて立たせ、肩を借りながら階段をおり、車に乗った。
病院で車椅子を持って来て、まず、採血の為、血液を取り、結果が分かるまで、2階のベッドで点滴を打ちながら待っていた。
看護師さんが
「そんなこと言えないよ」
とか、何とか言っている。状態は最悪なのか?
J先生が来て
「入院が必要だから、今、受け入れてくれる病院探しているから、もう少し点滴やっていて」
と言われ、骨が溶けて血液に流れていると言った。
N病院が受け入れてくれると言うので、車椅子で、病院の係の方がベルトを縛り
「少し、揺れますけど辛抱して下さいね」
とケースワーカーさんが車で先に行き、救急待合室で待った。
そして、気付いたら、ICUのベッドで保証人はいないか?と訊かれても、母はあいにく認知症だ。親戚も兄弟もいない。
そして、ネイルをしていたので、削って落とされた。機械が反応しないからだ。
入院するなら、ネイルも落としたし、灯油の支払いどうしよう?歯科の予約、連絡どうしようと、命に比べたらどうでもいい事が頭を駆け巡る。
意識も朦朧としてきて、手術台の上で股関節にコイルみたいなのを入れている。痛みはないが、電気が身体中をまわり、心臓のところにくると、破裂しそうな苦しみがあった。
そして、ICUに入っていて、耳元で男性の息づかいが聞こえるが、側には誰もいない。
二人のお医者さんが来た。
一人は外科医で、もう一人は精神科の院長だった。
精神科の先生は
「今、薬とアルコールを抜いているから、幻覚幻聴一週間位、あると思うけど、大丈夫ですからね」
と言って、去って行った。
私の聞こえたのは幻聴だったのか?
外科医には床擦れが出来ていたので
「もう少し肉がついてくれたら、いいんだけどな」
と言われ
「中田さんも大変だな。お母さん骨折したんだって?」
初耳だった。その医者が誰も伝えられないのを知って、自分が言ったのだ。
その医者に
「骨が溶けて血液に流れていると聞いたのですが」
と言うと
「それはその先生に聞いて!私はたこつぼ型心筋症と、横紋筋融解しか、伝えられない」
と怒った口調でいわれた。
前に入院して歩くのに大変だったから、なるべく早く起きようとした。
リハビリ担当の方がついてくれて、まずはベッドの上で手をあげるから、階段昇降まで見てくれた。
缶コーヒーも1日一本ならと、預けたお金で買って貰ったりした。
看護師さんが寝たままシャンプーをしてくれた。2週間振りだったので気持ち良かった。三つ編みに結って下さった。
苦しかったのが、便が出ない事だった。
そこの病院はご飯の量が多いらしい。
そして、私はきちんと食べていたつもりだったが、横紋筋融解になったのは考えたら、焼き鳥にビールなら、病気になるだろうと思い、病院食を出して下さっている方に材料とか、塩分等書いた紙をいただいた。
退院を自分で勝手に決めてしまい、外科医に
「ちょっと待ってくれよ~」
と崩れ落ちさせてしまった。
退院するも、体調が悪く、J先生に
「お母さんより、まず自分の身体を大事にしないと」
と言われてしまった(笑)。