趣味は読書

 私は本好きだ。

 読まなくても、本が側に無いと落ち着かない。

 学生の頃、新しい教科書を貰うと、必ず全科目の教科書の臭いを嗅ぐ。

 印刷の香りが教科事違うのだ。

 国語はモノクロだったので、渋い香り、科学はカラーなので、少し酸っぱい感じがする。

 一番お気に入りなのは国語と社会科だった。

 つまらない授業の時は文庫本を教科書で隠しながら読んでいた。

 後で、掃除の時、教壇に立つと、自分のしていた事が丸見えなのが分かったが、注意されなかった。

 休憩時間に読んでて、コンタクトが痛く涙目になった時、クラスの男子に

「中田、本読んで泣いてる~」

と言われた。

 社会人になっても、バスや電車や職場の休憩の時も読んでいた。

 私は本を読みそうに見られなかったから、男性に

「本読んで分かるの?」

と言われたから、違う世界に行けて楽しいよと教えてあげたら良かった。

 一人っ子だったので、日中はピアノの練習や、近所の子と遊んでいたが、家に夜いると、父も母も忙しく、私は本を読んでその世界に入り込む。

 飽きっぽいので、5冊くらい平行して読んでいた。

 栞を入れて、次、また次という具合である。

 今は電子書籍の時代だ。私も手前味噌だが、二冊出している。

 気付いたら本になっていた。売れても私には一円も入らないが。

 しかし、私は本は紙で読みたい。大切な本程、残したいのだ。

 情報を収得する為だけなら、電子書籍で構わないが、好きな作家や内容の本なら、手に取れる本が良い。

 中古本は前に読んだ人の書き込み等の良さもある。

 中学生の持ち物検査の時、音楽雑誌を入れていて

「やっぱり中田はこんな物持って来て」

と言いながら、奥に亀井勝一郎さんの本を入れていて

「中田はこんなの読むのか?」

「はい。一人娘なので、読書しかする事がないので、家になかったから、学校の図書館で借りました」

と言うと、生活課の先生が音楽雑誌と一緒に返してくれた。

 これだけ、本は影響を与えるのだなと改めて感じた。

 今、自分がこうして、文を書いているが、私は本当は詩人になりたい。

 しかし、詩人で食べていけるほど甘い世界ではない。

 小説家も大変だ。エッセイもこうして、書いてはいるが、自分の伝えたい事をそのまま書くと、必ず誰かを傷つけてしまう事がある。

 出来る限り、そういう事が無いように注意を払うと今度はメッセージが届かなくなる。

 その匙加減と美しい日本語。

 今の私の課題である。