ちょこっとキャンパス・ライフ

 大学病院にいた頃、大学病院だけにお隣は大学だ。

 今は駄目だろうが、私が入院していた頃、非常口から、大学に入れる。

 高卒の私だから、キャンパス・ライフたるものは?

 授業ではなく講義とは?と興味があり、よく大学に入って行った。

 窓から、生徒達が講義を受けてるのを眺めたりして。

 奥に行くと図書館があった。普通の小説から、医大生の為だろう、ドイツ語で書かれた医学書もある。

 思わず、借りたいと思い、図書館の方に

「借りたいのですが・・・」

と言うと

「何学部ですか?」

と訊かれ

「いえ、普通の人間です」

と答えたので、不思議な顔をしながら

「一般の方はご住所を書いてもらいます」

に面倒な事になりそうなので、そこで読まざるおえない。

 ドイツ語だから、大体しか分からなかったが、一時期、本気で精神科医になろうと考えた事がある。

 30歳の頃、住んでる近くに予備校があり、体験させてもらった。

 数字の証明問題が高校の時、苦手だったが、その予備校はビデオを見せて、東京の予備校講師が教えてくれる。

 正に今でしょ!だ。

 あれだけ苦手だったのに、実に面白く、理解出来る。

 高3の時、密かに大学へ行くつもりだったので、大学受験の雑誌を買って一人で勉強していた。

 仲良くなった、社会科の先生に放課後、日本史と世界史の一問一答テキストを買って、答え合わせをしてもらう。

 私はイギリスにも興味があり、留学もしたく、先生に話すと

「私だって忙しいんだから、留学するなら、もう止めよう」

と怒らせてしまった。

 一番最後のテストの答案用紙に

「今まで、ありがとうございました」

と書いて出した。

 その先生と廊下ですれ違った時

「番長(私のアダ名)、嬉しかった」

と言って下さり、嬉しさを感じる。

 ある時、バンドのメンバーが

広瀬隆が函館に来るから、講演聴きに行かない?」

と言われ、当時、彼の本を同級生の本屋さんをしている子に頼むと

「うちの母、こんな難しい本、読むの?本当に注目していいの?って言ってた」

と言われたので

「大丈夫、今どうしても読みたいから」

と読んだばかりだったので、私は

「行きたい!」

とウキウキしていたが、ドラムの子は誰だか分からずに4人で行った。

 お手洗いに入ると、その社会科の先生がいるではないか。

「番長も興味あるの?反原発?もは余計か」

と言われ、まぁと答えた。

 広瀬隆さんの講演は2時間あっと言う間に終わった。

 とても、早口だったが、理解出来た。

 函館から車で、2時間程走った所に、泊原発がある。風向きに寄っては泊原発が爆発したら、函館に放射能が落ちるので、函館市民としては他人事ではない。

 バンドのメンバーと色んな方々とバスを貸し切って、風力発電所を見学し、泊で

原発反対!原発反対!」

シュプレヒコールを上げた。

 泊原発所の前には警備隊が立っていた。

今日、私達が来るのが分かっていたのだ。

 本気で原発はいらないと思っている。

しかし、村長としては大金を手に入れる為に原子力発電所を建てるのを容認せざるおえない。

 そこにはまた、お金だ。

 本当は風力発電所だけで、電気は充分に賄える。しかし、政治家はお金の為に作るのだ。

 皆、分かりきっているのに、何故無くならないのだろう。

 話はそれたが、何かに熱くなると、突っ走ってしまう、私。

 体験講習を受けて、医者になると考えたが、主治医に

「医者ほど、キャリアが大事な職業はないんだよ」

と言われた。

 医学部で6年学び、助手として働き、やっと一人前の医者になると30歳を迎えている。

 医者も体力勝負だ。粋の良い時は少ししかない。

 そして、医者歴何年かで、人は決める。

 余りに若いとナメラれて、患者は来てくれない。

 Dr.Xは存在するが、極限られた人だ。

 TVの世界のようなカッコいいわけではない。

 生半可な知識と意欲の私には無理だと感じた。

 実は幼稚園に行く時、朝食に紅茶を飲んでいて、手が滑り太ももにこぼしてしまい、怒られると思った私は黙っていた。

 母が気付き急いで、父が抱き上げ、水で冷やした。

 そして、いつもと違う病院に連れて行き

「ウチでは無理です」

と言われ、いつもの先生の所に行くと

「何故、もっと早くに連れて来なかった!娘さんは一生、ケロイドが残りますよ!」

と両親は怒られる。

 母は事あるごとに

「火傷させた親を子供は憎む」

と言ったが私の不注意だ。

 その先生はドイツ語と日本語を混ぜて話すので、何を言っているか分からなかった(笑)。

 そして、年頃になって、気になったら手術してあげると言ってくれたのだ。

 大学で講義を受け、原っぱで手作りのサンドイッチを好きになった男の子と食べたり、サークル活動で色んな子達とワイワイしてみたかったな。

 今からでも、遅くは無いが矢張、若い時してみたかったと感じる。