それっていったい

 ある時、39度の熱が出た。

しかし、今日は仕事がある。

何とかベッドから出て立つも、フラフラだ。

 そのまま、仕事をした。

熱があるのを誰にも、伝えなかった。

言うと、周りが気を遣い、私を庇うあまりに仕事にならないと感じたからだ。

 また、ある時、山麓で働いている女の子が二人、熱があり出勤してきたら

「社員の鏡だな」

と男性の主任が言った。

 なら、パートなのに社員以上の責任の重い仕事をし、熱がある事を伝えずに働いていた、私は馬鹿をみたという事か?

 そりゃ、無いでしょ。この会社、何かへんだぞ?

 しかし、私は黙って、笑顔でお客様にサービスし続けるだけだ。

 会社の為に働いているのではなく、来て下さるお客様の為に働いているのだ。

勿論、お金が貰えなければ生活出来ないから、自分の為なのだが、笑顔で

「いい旅になったよ!どうもありがとう!」

と言われたら、全ての苦労がぶっ飛んで行く。

 これが、接客業の醍醐味だと私は思っている。

 厨房に入ると、私が振った調理師の男性と、その男性を気に入っていた女性主任とで

「どうせ、俺、おじさんだもんな!」

「ねぇ~」

と言われて

「そんなのだから、振ったんだよ!それにその男性がそんなに良いのだったら、私にではなく、自分の娘と付き合わせたらいい!」

と。

 今思うと言っておけば良かったなと感じるが、調理師はお客様を直接相手にしないから、分からないのだらう。

 私達、ホールに出る者は例え親が死のうと笑顔で対応しなくてはいけない。

 お客様にとって、サービスする側の事情など関係ないのだから。

 なんやかんやで、パートの安い賃金で、給料の高い社員より、重い仕事をし、熱が出たとも伝えず、嫌味言われても、聞き流しやっていたものだ。

 お給料は我慢料とも、言われるが、なら私は会社1高い賃金を貰って良いと、今なら言える。

 矢張、働いたら、それにみ合った、正当な賃金を与えるべきだ。

 しかし、今の勤めている所では、未だ未だポンコツぶりなので、仕事出来ない人がいるから、エリートが出来る。

 過去を嘆いても仕方ない。未来に何が出来るか?

これが、私の考える事だ。