最後の恋と言うならば

 私と 今は亡きAと、ずっと仲の良かった T 君といつも ドトールで 待ち合わせをした。

 それぞれ住んでいるところが違うから秋田駅で一番目印になる場所がドトールだったのでそこで待ち合わせをして 一緒に時を過ごした 。

 あるとき A が

「のんさんとだけだったらいいけれども T 君と会うのはもう嫌だ。

 だってドトールでコーヒー飲んで カラオケ行って 何の生産性もない 付き合いだったら もう嫌だから」

と言ったので私と T 君とだけ 会うようになった。

 後で聞いた話だが T 君は S 学会の信者であって 私がお手洗いに行ってる間に A に S 学会に入らないかと しつこく迫っていたらしい。

 私はクリスチャンになりたいと 公言していたので 一度も誘われたことはなかった。 しかし理由はそれだけではなかった。

 実は T 君は私のことが 好きだったらしい。 だから嫌われたくなく S 学会に 誘うことがなかったのだ。

 私はそういうことに対して疎く 母は勘が鋭いので その T 君の写真を撮ってきてと言われた。

 だから私は T 君と一緒にプリクラを撮ろうと言うと、お母さんに言われたの?と聞かれたので、実はそうなんだ。 T くんの顔を見たいって言うから写真を撮ってきてと言われたの。

  プリクラ代の400円も 200円ずつ割り勘で支払い プリクラを撮った。

 そしてドトールで いつものように 私はアイスコーヒーを頼む 。

 それも、もちろん割り勘だ 友達だから 当然だと思っていたが よく考えてみると 私は単なる友人関係でも 対男性と どこか行った時には必ず男性が支払ってくれていた。

 そして、みんな車を持っていた人としか 付き合ったことがなかった 。

 プリクラを撮ったのが悪かったのだろうか?

 家に着くとメールが T 君から届いていた。 「これが 最後の恋です! 会った時から好きでした。 返事はいつまでも待ちます。 ですから僕と付き合ってください」

と書いてあった。

 私は戸惑った 。一度もT君のことを恋愛対象として 感じたことがなかったからだ。

 しかし彼は乳がんでお母様をなくし、お父様も病気で看病しながら自分の病気を治している。

 そういう同情心が働き私は

「今はまだ恋愛対象として見れないけれども ゆっくり好きになるように努力してみるからそれでもいいなら付き合う」

と聞いた。

 そうするとそれでいいということになり お付き合いすることになった。

 しかしその日から丸一  週間睡眠薬を飲んでも どうしても T 君のことを恋愛対象として見れない自分に眠れなくなってしまった。

 このまま なら恋愛どころではなく 自分の体を壊してしまうと思い T 君にもう一度友達として、やり直せないか? とメールを打つと それは無理と言われた 。どうして僕と会う前に決めてしまったの?と 。

 そして カップルになった時 何でも話し合おうということを決めた 。

 そうすると T 君が 僕と会ってどうして1時間でバイバイするの?と、言われたので よーく考えてみるとわざわざ電車に乗って T 君と会ってただでさえ体が 具合悪いのにその頃合いを見て 行ってくるので 1時間が限界だと T 君に話した。

 そして今まで 単なる友達でも 全ての男性が車を持っていて 、皆お金を 私のぶんまで出してくれたと だから疲れて 1時間が精一杯なんだと説明した 。

 そうすると T 君は のぞ美さんの考え方古すぎます今時のカップルは割り勘が当たり前です に、私はちょっと待って!と思った。

 それはあなたのことをあなたが同じぐらい好きな女性が彼女だった場合に限ってでしょっと。私はまだあなたのことを恋愛対象として見れていない そういう女性が わざわざ時間を割いて デートするという時に カップルだから割り勘が当たり前 には びっくりした。

 対等のカップルであれば 今日俺給料日前なんだ だからごめんと言うのは分かる だけど私はデートは誘った方が出すものだという考えがある。

 私が好きになった人を デートに誘う時は お昼を抜いてでも その人のコーヒー代を持つつもりでデートに誘う。

 それが礼儀なんじゃないのかなと 思っている 。

 だってまだ私のことを よくわからないのだから 分かってもらうためにデートに誘うんだから ドトールみたいな 混んでるお店ではなく ちょっと高めにつくが 素敵な空間で 話ができやすい喫茶店を私なら選ぶ。

 そして私に付き合って下さった男性に対してのコーヒー代も 私は持つつもりでいつもデートに誘う 。

 しかし今まで出会った男性は誰一人としてここは僕が持つからのぞ美さんは出さないでいいと 言った人しか 出会ってこなかったから。

 自分がデートに誘っておいて コーヒー代は自分で持ってねっという男性を初めて知りカルチャーショックだった。

 奢ってもらいたくて言ってるのではない。 300円のドトールのアイスコーヒーも 奢りたくないと言う 最後の恋って一体どんなもんなんだ ?女性をバカにするのもいい加減にしろと 腹が立った。

 私は言葉遊びをする人間が好きではない。 本気で好きだったら 態度で示すべきだろう。  その子の言ってることは 僕が好きだからデートして。 でもコーヒー代は自分の分は自分で持ってねと言っている。 まるで駄々っ子のようだ 。そんなに自分中心で世界が回っていると思っているのか?

 そして最後のメールで コーヒー代こそ出さなかったけどいっぱい CD や本をプレゼントしたよねと書いてあったので 同情心も消え失せ 朴訥そうにしていたのも 全て計算ずくでのことだったのだと わかり、一週間だけでも付き合おうと思った自分の人を見る目の無さと 浅はかさに恥ずかしさを覚えた。

 そしてもう二度と 私に近寄るなと 手紙を書いた。

 5年後 まさかストーカーになるとは思わなかったが私は振る時に こんな女と付き合わなくて良かったと思ってもらえるような 振り方をする。

 それが 彼にとっては 逆効果に出たみたいだ

 最後の恋だというのならば命がけで向かって来いと私は思う 。

 ドトールの300円のアイスコーヒー代も出したくないという男性に 私が危ない目にあった時自分の命を変えてまで私を守ってくれるとはどうしても思えないから 。

そんな人とお付き合いしているほど私も暇じゃない

 そんな話をその男の子より年下だけれども大人に見える 男性に話ししたところ その男の子 ちょっと変じゃないですか ?どっか細かい所はありませんでしたか ?と聞かれそういえばドトールのコーヒーで水を汲んでくれ全て優しいと感じ取れたが 逆を返すと 細いのだと感じた。

 そして 金払いの悪い男とは付き合わない方がいいと昔の人たちはよく言った。 お金でなんとか しようとする男の人が 好きではないが 愛してる女性に アイスコーヒーも奢りたくないと言う それで 最後の恋ですと いってしまうそんな浅はかな男性に つかれたということは 私もまだまだ大した女じゃないなということで とても恥ずかしいと今でも思っている 。  本当に愛しているというのならばドトールのコーヒー代の300円ぐらい 愛してる女性のために払えばいいのにと思う私が間違っているのでしょうか?

 私が逆の立場だったら 気前よく出すのが 私だ 。お金て何とかしようとするのではなく ここでおごることによって 相手に気持ちよくなってもらおうという、そういう心持ちも 大切なんじゃないのかな?と感じた私でした。

 人をバカにするのもいい加減にしろと まだまだ未熟な私でした 。あの程度の男性に告白されるなんて恥ずかしいの一言で終わりました。精進あるのみです!