マラソン

2022.6.29

 

 中学3年の時、校長先生が、変わった。

アダ名はタヌキ。

 来る1年前から

「今度、凄い校長が、来る」

と話しに出ていた。

 買い食いをして、歩いている生徒に車に拡声器で

「そこの、お前達!何をやっている!さっさと帰りなさい!」

と言ったとか、給食時間にうるさいクラスで、校内放送で

「3年9組!今から、校長が行くから、大人しく、座って待っていなさい」

と、言ったり、話しが長くて体育祭て、バタバタ人が倒れて行く。それでも

「校長は諸君の事を考えている!」

と、話し続ける。

 熱血漢なのだ。

そして、いつも、自分の事を言う時、「校長は」と言う。

 大沼の側に小沼がある。

そこを1周、約10kmでマラソン大会が行われた。私は部活を引退したのだが、1、2年生は顧問に本気で走れと言われたから、私は普通に走っていた。

 部活をやっていない、男子生徒は途中で歩き出したが、私は走った。

 1、2年生には負けるが、普通の男子より、早かった。

「中田、頑張れよ~」

と言いながら、歩いている男子に

(あんたこそ、頑張れ!)

と、思いながら、走った。

 それにしても、校長は何故、マラソンを。

健全たる精神は健全たる肉体から?の方針か?

 給食の放送も、良く私は放送部の人にカセットテープを渡して、色々掛けてもらっていたが、クラシックしか、駄目になり、恒例の謝恩会ではバンド禁止で、つまらない物で、終わった。

 しかし、マラソン大会は10位だった。全校生徒1200人以上いるから、引退したとしても、まずまずだろう。1~9名はバスケット部の後輩が占めていた。

 バスケット部は陸上部より、走るのだ。足腰強くしないと、意味がないスポーツだから、必然的に長距離走はバスケット部になってしまう。 

 先にゴールした、後輩達が

「中田先輩、ガンバでーす!」

と、声援をくれた。

 同じ年や、後輩にはガンバでも良いが、1年でも年上なら、ですを付けなくてはいけないのだ。

 プレー的にはいくら、巧くても、年上を敬わなければならない。

 だから、私の礼儀はバスケット部で、培われた。

 私は敬語が使えない、年下は駄目な奴と、判断する。

かと言って、年上だからと、ふんずり返る人も、嫌だ。

 マラソンは1位以外は皆、敗者になる。

だから、負けを知るにはもってこいのスポーツだろう。

 今日も、人生のマラソンをリタイアしないで走っている、自分を少しは認めてやりたい。