精神科の風景 B

2022.8.14

 

 先週の金曜日に精神科を受診した。

〇〇クリニックと看板のしたに小さく、精神科・内科と書かれてある。

 山の中にある病院も多いが、私の通っている所は入院設備の無い町の中にある病院だ。

 普通、精神科はデカでかと精神科とは書いていないが、住んでいる人は病院名で、精神科だなとは分かる。

 大学病院でも精神科は端か奥にある。

患者が通い易くする為より、病院自体があまり公にしたくないのが、本音だろう。

 皆、癌とか、骨折とかなら、病院へ行きやすいが、精神科は一目置く。

 洒落たメンタルクリニックと書かれてあるが、予約で、患者同志が会わないようにしている所もある。

 久々にキャラクターのぬいぐるみを脇に抱えた170cmある、17歳くらいの男の子に会った。

 普通は二度見をするだろうが、慣れている私のような人間には

(ピカチュウが好きなんだな)

くらいで、終わる。

 バスを待っていた時にも、皆さん会ったことがある方もいらっしゃるでしょうが、携帯で誰とお話ししていると思ったら、見えない誰かと会話して、一人で笑い、頷き納得している、女性がいたりする。

 私はあっちの世界の方と呼んでいるが、前に地球と宇宙が2つあるという男の子と

「地球も宇宙も貴方も一人なんだよ!」

と言っても譲らない人がいた。

 面白いもので、もしかしたら、本当に地球と宇宙が2つあるのかも?と思ってしまう。

 だから、精神科の医者や看護師は呑まれないようにしなくてはいけない。

 ミイラ取りがミイラになったで、精神科の医者や看護師が鬱や躁になったりするからだ。

 あと一番気をつけなくてはいけないのが、転移性恋愛だ。

普通は患者が医者を好きになる場合に使うが、私の病名の一つに境界性パーソナリティーディスオーダーという、人格破壊病があるが、女性に多く美人が多いので、医者が患者を好きになる場合もある。

 境界性は見捨てられ感が強く、彼氏に

「おまえなんて、死んだらいいんだよ!」

と言ったかと思うと

「貴方なしでは生きていけないの、私」

等、相当メンタルが強い男性じゃなければ、もたないだろう、病気だ。

 医者も人の子だ。

自分も巻き込まれたくは無いから、他の病院から、紹介状を渡されたら、断る医者も多い。

 患者で人生メチャクチャになりたくはないからだ。

 私も病院を幾つか渡ってあるいた。

「ウチでは診れません」

と、5病院くらいに言われた事もある。

 私も他から見れば狂っているのかも知れない。

 若い頃よりは少しは心の振り幅は小さくなっただろうが、まだまだ完治はしていないし、一生付き合っていく病でもある。

 人はそれぞれに個性があるから、普通の人より、個性が強くて、大勢の人とは違う方向を見ているだけだと思ってくれたら、精神患者は生きやすいと思うのだが。

 少なくとも、自分の事は自分が好きでいようと思う。