無性に切りたくなる❗

2022.9.2

 

 私は産まれた時、ハゲだった。

だから、両親が女の子なのにと心配して、10歳まで髪を切らせてもらえなかった。

 ポニーテールにしても、お手洗いに困る始末。

 色素が薄いせいか、金髪と、赤毛だったから、顔立ちといい良くハーフに間違えられた。

 母はお手製のヒラヒラのワンピースを着せて、幼稚園に行く前に、父のチックを私の髪に付けて、ブラシでとかして、引っ張りながら、髪を結った。

「いたい❗」

「大人しくしなさい❗」

と、朝はいつも、喧嘩だった。

 母はお嬢様風にしたかったらしく、しかし、私はやんちゃだったので、洗濯物を干す時に紐で繋がれた位だった。

 外見は女の子らしいが、やることなすこと男勝りだった。

 だから、10歳の時、母に懇願して、美容院で髪をショートカットにさせてもらった。

 よく、頭が寂しくなった男性が一度剃ると毛が生えてくると言われているが、私の薄い髪の毛が直毛、豪毛になった。

 ロングヘアーが多かったが、美容院で一度、ソバージュにしたとき、余りの髪の多さに半分、ロッドを巻いた時に美容師に

「止めていいですか?」

と、冗談で言われた位に多かった。

 しかし、時々、無性に髪を切りたくなる。

 腰まであった髪をベリーショートにして、会社に行った時、顔と声は私だが、髪が短いと皆

「誰だ❓」

と、ざわざわした。

 男性は長髪で良いと思うが(ある方はだが)女性が髪に頼るのは余り好きではない。

 ロングヘアーと色白は七難隠すと言って、どんな顔でも、誤魔化す事が出来るからだ。

 髪が長かった私に

「綺麗だ」

と言う人がいたが、私はそれを裏切りたくなってしまう。

 いきなりのベリーショートに男性達が

「勇気あるねぇ~」

と、評判は上々だった。

 綺麗な人は髪が無くても美しい。

 三蔵法師の役をやった、夏目雅子さんがいい例だろう。坊主になっても、美しい人は美しいのだ。

 病院で、入院していた時も、腰まであった髪を真夜中に洗面所で自分で、ハサミで、切ってしまった。

 看護師さん達や患者さん達は皆、驚いたが、私は何処吹く風で笑っていた。

 ロングヘアーとベリーショートを行ったり来たりで、今はショートヘアーだ。

 秋本奈緒美さんの切り抜きを持って行って、ショートにパーマをかけたら、通りすがりの男の子に

「パンチパーマ❓」

と言われたり、金髪にして、当時は珍しいので、美容師さん5人係りで、ブリーチをして

「バンドヤられてるのですか❓」

と、訊かれ、出来上がりが上田馬之助さんになり、家に着いて、ハサミで、ジグザグに切ったり、失敗は何度もある。

 ある時バッサリ切りたくなるんだよな~❗

ある資源を今は大切にしたいと思う。