父の教え

 私の今は亡き父は奥尻島生まれで、本当は東京へ出たかったが、函館が精一杯で中学生から函館で過ごした。

 中学生の時、下宿した所で夕食にイカそうめんが出た。

 勿論、醤油をお皿に入れて食べ終わった。

その時、醤油が残ってしまった。普通は捨てればいいじゃんと思うところが

「一美君、この醤油どうするの!?勿体無いでしょ!飲みなさい。今度から、使う分だけ出しなさい!」

と、叱られたと、幼い私に話した。

 今の大人は他人の子供に注意しなくなった、と言うより出来なくなっている。

 昔はシングルマザーなら、近所の人が赤ちゃんを見て、その間にお母さんは仕事に行けた。今は託児所しかない。金銭的にも大変だ。

 昔を羨むではないが、一種の連帯感があった。今ではお隣さんに醤油を借りる事も出来なくなった。

 どちらが良いか悪いかの議論ではないが、間違った子供にそれはいけないと、注意できる世の中にはなって欲しい。

 まぁ、オヤジ狩りが怖いから出来ないのも分からなくはないが、前にendsのライブを渋谷に今は亡き友人と観に行った時、煙草を吸っていた、若いあんちゃんがいたので、肩をポンポンして

「禁煙って書いてあるけど」

と話たら

「あっ、気付かなかった」

と言って消したら、友人が

「のんさん、よく言えるね。私、怖くて言えない」

と言われたが、どうしても注意してしまう。

 前に車から、吸殻を捨てた子が

「のぞ美さんに怒られる」

と言った時には私は注意魔か?と感じたが、結構言っていたのだなと。

 それより、私に怒られるからではなく、悪い事はしないでおこうよ。