そして、屁っこき虫~最後のお茶~

 Iさんの家に一週間位、泊めてもらい、近所に平屋の賃貸が空いているという事で、そこを借りる事になった。

 部屋をそうじしながら、まっくろ、くろすけに会った。

 母と私は嬉しくなり、いじりながら、掃除が終わり、私の函館山ロープウェイの給料が入り、母はダブルベッドとカーテンを購入。

 ペット禁止なので、としを隠しておいた。

 私は接客業はもう、疲れたので、工場の派遣会社に面接に行き、そこの社長がベンツに乗せて、工場まで、案内をしてくれた。

 初ベンツの乗り心地はまあまあだった。

工場では私の事を

「秋田美人ねぇ」

「秋田じゃなくて、北海道だよ」

等と噂された。

 注目されるのが、社会人になってから、滅法、駄目になった、私。

 チームと違う所へ、入れられ、前にも書いたが、リーダーたる、兼業主婦の若い頃はブイブイ言わせてただろうなと思う、女性が

「仲良くしてね」=(お前なんか、大嫌い)と、私は分かってしまった。

 レーンに入れられ、流れ作業に、お手洗いに行く事が出来ず、おならをしてしまい、工場中に言いふらされた。

「あの娘(こ)、美人だけど、おならするのよ」と。

 私は恥ずかしさの余り、ゴメンも言えなかった。

 そういう時の男性の態度は両極端に分かれる。

 おならをしても、普通に接してくれる、または優しくなる、もしくは私を敵対視するか。

 私の後ろに段ボールを積み上げた男性社員の事は忘れない。

 女性、皆で私を苛めた。

気分をまぎらわせる為か、BGMが流れていた。

 GLAYJUDY AND MARY等が流れた時、こっちはミュージシャンになれずに好きでもない仕事で、辱しめられてるのに、お前らは呑気に歌っていて良いよな。

 私は狂いそうなのを涙を流しながら、ぶつくさ言って、レーンから流れて来る板にチップを入れた。

 それを見た人達は私を苛めるのを止めた。

しかし、リーダーだった女性と、もう一人は悪者になりたくなく、私の後ろにベッタリくっついて

「今、した?」

「ううん、香水の香り」

と、私がおならするまで、待っているのだ。

 今、思うと、綺麗は年を重ねても工夫しだいで出来るが、若さだけは買えない。

 そのリーダーと、もう一人の女性は若くて、美人だった私を妬んだのだろう。

 自分では美人だと思った事がないが、よくハーフと間違えられたので、人とは違ったのは感じていた。

 人とは違ったモノに対して、なかなか、受け入れられないものだ。 

 北海道から来たという、異質なモノを受け入れたくない人もいる。

 顔が良く、頭も良く、性格まで良ければ、どこかしらか、悪い所を探しだし、足を引っ張り、引き摺り降ろす。

 人間の悪の本質を知った、私だった。