やけど

2022.7.28

 

 私の両太股には火傷の跡がある。

男性と深い関係になったら、隠しきれない場所にだ。

 プールの授業の時、心ない男の子に指を指された。

 中学生のプールの授業は全て

「生理です❗」

と、嘘をついて休んだ。

 近所のさよちゃんと、弟さんの、ノブ君は

「痛いの?触ってもいい?」

と言ったので

「痛くないよ」

と、触らせてあげた。

 中学生のバスケットの部活はサポーターをして、出ていたら、先輩が 

「中田、足痛いの?」

と訊かれた時、後にキャプテンになった、先輩が気づいて、言った先輩に肘でコンコンとつついて

「何でもない」

と、庇ってくれた。

 だからかどうか、私は男性と、深い関係になれない。

 高校の同級生とプールに行く事になり

「私、火傷の跡があるから」

と言うと

「私もあるよ!」

と言って、水着になったが、その子は跡がまったく分からない程度だった。

 皮膚科の先生が年頃になって、気になるなら、いつでも、手術してあげると仰って下さったが、もう、あの世だろう。

 今となっては別段、気にはならなくなったが、ショートパンツは履けないでいる。

 顔に火傷の跡がある人もいるんだからと言う方も、いらっしゃるが、太股という、微妙なところにあるから、厄介なのだ。

 気にしないと思っても、気にしてしまう。

ハイレグなんて、拷問に近い格好だ。

 まぁ、この年になっての、ハイレグは誰も見たいとは思わないだろうが。

 私の母は

「火傷した子は親を一生恨む」

と、時々、言ったが、自分の不注意だし、恨んでなどいないのに。

  しかし、どんなに暑くなろうが、ショートパンツだけは履けない私だった。