ミスター・ラ・サール

 お隣が函館一、喧嘩が強い人が居たら、斜めお向かいさんに函館一、成績が優秀なラ・サール高校に通っていたお兄さんが居た。

 色が白く背も高く、スラッとしていて、幼心に

「こんにちは」

「こんにちは」

と、声を掛けられただけで、嬉しくなっていた。

 東大間違いないと言われ、成績優秀おまけにルックスも良いし、幼稚園児の私にも、丁寧に頭を下げる。欠点が無いところが、欠点とはこういう人を言うのだろう。

 しかし、悲劇が起こった。東大の入試の日に高熱を出し、テストが思う様に出来ず、落ちてしまったのだ。

 お兄さんも、もう勉強は疲れたのでしょう。浪人しないで、札幌に普通のサラリーマンになったそうだ。

 人生は不思議なものだなと感じる。

 大した人じゃないのに金持ちになる人。

 性格悪いのに無事、生きてる人。

 真っ直ぐな人が幸せになる世の中だといいな。