引っ越すもまた~最後のお茶~
私達がダブルベッド等を購入したせいか、Iさんが、家の大家さんに、犬を飼っていると教えて、大家さんが
「出ていってくれ!」
と言った。
私は職場で、おならをして苛めに遭っているとは母に流石に言えず、母はお弁当を作る工場で、深夜の方が時給が良いので、夜中は一人だった。
多分、お隣さんだろう。家の裏玄関をドンっと、凄い音で何かをぶつけて以来、夜眠れなくなった。
深夜番組で、松ちゃんのひとりごっつを観ていたら
「おならはする方より、させる方が悪いんですよね?」
の言葉に亡き崩れた。
函館の仲の良かった、やっちゃんと、学君から、電話があり
「元気にやっているよ」
と、本当は泣きたい気持ちでいっぱいなのを抑えて明るく話した。
母の知り合いの方に引っ越しを頼み、大家さんも可哀想に思ったのか
「もう暫く居ていいんだよ」
と、言ってくれたが、準備は万端だった。
しかし、住む所が無い。荷物は預かってくれるので、問題はなかったが、母は実の親ではなく、母の父は戦争で、母の母は心臓発作で、姉もいたが、赤ちゃんの時、亡くなっているので、養女として、育てられた。
その、両親の家に取り敢えず、泊めてもらった。一応、弟二人と妹一人がいる。
そういえば、小学生の頃、泊まりに行って、二番目の弟さんのアソコを蹴ったら
「のぞ美!男は本当に痛いんだぞ!」
と、本気でキレられたっけ、笑。
私達は喫煙者だったから、家で煙草を吸うなと言われ、隠れて吸った。
もう、出てって欲しいと、一週間だけ泊めてもらった。
母の従兄弟の車修理工場をしていた方の従業員が休憩する、畳の間に座布団を敷いて、夜を過ごした。
身体は痛く、疲れは取れないが、雨、風がしのげるだけまだましだった。
お風呂を借りると、私も母も湯船を垢だらけにしてしまったが、怒られなかった。
そして、アパートを借りる値段で、家が買えるので、持ち家が欲しがった母の為に、平屋で小さいが、そこの不動産の社長が工場を紹介して下さった。
そこで、また、悲劇(今では喜劇だ)が起こる。
そこの工場長が偉く私を気に入って
「今度、女優さんみたいな美人がくるぞ!」
と、まだ私が働く前に言いふらしてあるいたのだ。
美人と思って下さったのは有難いが、一番面白く無いのは、それまで、一番可愛いと、言われていた、一つ年下の女の子。
そうとは知らず、私は母と、私の給料が、12万そこそこだから、家のローン4万5千円払って、母もパートで、贅沢しなければ十分やっていける計算で、銀行で主を私の名前でサインをした。
母は裏庭を畑にして、野菜や果物を植えて喜んでいた。
工場長はその、一つ年下の女の子と私に仲良くしてやってくれと、引き合わせた。
何か嫌な予感がした。
私が通ると、男性社員に
「中田さんと私、どっちが痩せてる?」
と訊き
「お前のほうだよ」
と言わせ、私は(馬鹿らし)と、思った。
誰かの本で、女性が一番魅力的なのはふっくらとした肉が垂れ掛けた時だと読んだ事がある。
男性はモデル体型の女性より、ふっくらとした女性の方に魅力を感じる人が多いのを私は知っていたからだ。
それにマウントとるのの馬鹿らしい事。
そして、また、やってしまった。
その、一つ年下の女の子が私の後ろに座った時、出てしまったのだ。思惑通り、彼女は言いふらした。
「小学生じゃないんだから」
「女のクセに」
等、お昼ご飯の時、私を面白くなく、思っていた人達が、聞こえよがしに言い合っている。
しかし、私は稼がなくてはいけないから、残業も毎日した。
そのうち、彼女もし出した。
もう一人の女性が彼女を
「良く働いて偉いねぇ~」
と、持ち上げる。
函館でも、その子以上に働いてる人は沢山いるが、言ってしまうと、村八分に合うのは目に見えている。
秋田市外だから、働いているのは皆、知り合いなのだ。
一度、彼女の家へ行った事がある。お姉さん夫婦と、ご両親とで住んでいて、家事、洗濯はお姉さん任せで、家に一万しか入れていないそうで、あとは自分の好き放題、お金が使える。
私は家のローンがある。働かなくてはいけないのだ。どんなに会社に居ずらくても。
そのうち、吐き気がして、お昼に会社の上司に車で家まで送ってもらった。
ある時、会社で一番嫌いな男性社員に
「中田さん、俺の知り合いと付き合わないか?〇〇に似ているのだけど」
と言われたが、彼氏作るどころではない。
それに、お前の友達なら、ろくな男じゃないのが分かるし、私が俊彦を好きなのは知らないので、丁重におことわりした。
そして、パニック発作を起こす事になる。
好評により、続く・・・・・・