皿洗い

2022.7.5

 

 今、休んでいるが、人と話す。

私は皿洗いが一番似合うタイプだ。

前にやっていた時、貯めた水の中に割れた皿があり、フヤケタ手だったので、切ってしまった。

 そういう事と、仕舞い場所さえ覚えれば、黙って仕事をしていたら、良いので、気を使わずにすむ。

 相手はお皿と、シンクと、時に食器洗浄機だ。優しく洗う時もあれば、なかなか、落ちない時もある。

 一番初めに、就職の面接で、どんな仕事をしたいのか?に

「皿洗いです」

と、答えて、先輩が笑った。

 私は大真面目に答えた。

唄う以外は一番向いてるのは皿洗いだからだ。

 何とか学部の研究者ではない限り、私に向いている仕事は他にはない。

 しかし、殆どが、一番向いていない、接客業だった。

 アクセサリーを売っていた時に

「気取って❗」

と、通りすがりの主婦らしき女性にいい放たれた。

 私はただ、売ろうと、思い

「いかがですか?」

と訊いただけだ。

 そんなに気取って等いないが、スマシテ見られたのだろう。

 男性からも

「お前より、イイ女知ってる!」

だの、心が折れそうになった。

しかし、働かなくてはいけない。

 それも、笑顔で。

家に帰り、一人で泣いた事も、私だってある。

 本当はステージで、唄っている筈なのに・・・・・・。

 病気をして、身体が弱くなった私は詩や作詞、文章を書く事をするようになった。

 元々、メモ魔だった。

休日、喫茶店で、下校する、高校生達をみながら、徒然なるままに、ペンを走らせていた。

 余り人と話すのは得意ではないし、人見知りも激しい。

 だから、文章にするしか方法がないのだ。

人とツルムのが、苦手だ。

 私は自分の事を話したくはない。

 だから、話題は映画とか、読んだ本の話し。女性だったら、美容、歳を重ねて、健康の話し。

 やっぱり、独りがいいと、感じるこの頃だ。

 だから、皿洗いが私に一番向いている。

今では機械でやるのだろう。

私の居場所が、どんどん無くなって行く。

困ったものだ。