お嬢様

2022.8.24

 

 私は中学生の時、成績がクラスで一番だった。学級委員長もやった。

 しかし、バスケットと、ピアノと、エレキギターの日々。

 勉強など、したことがなかった。

成績は徐々に下がり、小学生の時、函館で一番、偏差値の高い高校に入れると太鼓判を押されていたが、2番の学校も危ういだろうとなった。

 そして、考えもしなかった、滑り止めの私立のS学園高等学校に通う事になった。

 S学園高等学校は東京にもあり、東京ではベンツで送り迎えしてもらえ、挨拶は

ごきげんよう

の世界。

 私達、函館はお嬢様もいたが、皆、普通の女の子だった。

 他にも、S学園高等学校はあったが、東京とまったく同じ制服は、函館だけで、私達の前の代の先輩達が、修学旅行で、東京の自由行動で、歩き周り、S学園高等学校は品性が落ちたと言われてしまい、私達の修学旅行では、東京ディズニーランドに変わった。

 自由行動で、また、品を落としてしまうのを恐れた学校側の意向だ。

 函館の先輩達が東京のS学園高等学校の生徒に会った時、あまりの違いに恥ずかしくなり、隠れてしまったという位、違うらしいのだ。

 私が京都の町を友人と歩いていたら、通りすがりに、男性に

「気取んな❗」

と言われたが、東京のS学園高等学校と間違えたのだろう。

 私はただ、歩いていても、よく男性から、色々言われる。

 お嬢様でも、何でもない。寧ろ言ってくる男性より、酷い目に遭って来たと自負できる位だ。

 見てくれはお嬢様に見られるようだが、私は一応、苦労して来た。

 その、ギャップに苦しむ私だった。

 あ~あ、私もベンツで送り迎えしてもらいたいよ、まったく。